降り続く雨で、宮川の水位等を警戒していた。しかし、平行して流れる外城田川が氾濫。監視はしていたものの、水位の上昇が早く、結果として氾濫してからの避難指示となってしまった。

10月の台風は22日から23日なんですけど以前から降っていたんですが、実際には22日の夕方6時ぐらいから30mm以上の雨がずっと降り続いたところで翌23日まで一番ひどかったのかなと。

問い:状況は何時頃、どのように変わり始めたのでしょう?

雨が夕方5時過ぎぐらいから強く降り出して来ててその後ですかね。暗くなってからなので。巡視の方も回ってはいるんですけども、だんだん強くなって強い雨が降り続きました。

問い:雨が強くなった夕方以降ですね。どういった被害が発生したんでしょうか?

最終的には、500戸を越える床上、床下浸水が町内であったということになっています。

問い:場所としてはどの辺りでしょうか?

場所は、役場周辺の集落、市街地の辺りが多かったですね。

問い:浸水の原因は何だったのでしょうか?

浸水の原因は、予想を越える雨量が降り続いたという事が一つで。それによって外城田川が堤防を越えて溢れて町中に流れ込んだ事によって浸水したという事です。

問い:500戸が越える家屋が浸水したという事ですが、ひどいお宅では床上何センチぐらいとお聞きになっていますか?

ひどいところですと床上1m50cmを越えたと聞かさせて頂いています。

問い:被害にあわれた方からは連絡なり、被害の状況は聞こえて来ましたか?

開票作業を終わって11時ぐらいに戻ったんですけども、その当時に役場にかなりの数の電話が入っていまして「どうしたらいいですか?」という事なんですね。「水に浸かって来ているので助けに来てください」と言われるのですが、助けに行けずに身動きが取れない状況になっているものですから。記録によると水位が高いところで1m80cmにもなっているところがあったので、当然助けに行こうとボートなどを持って行ったのですが、流される危険性があって結局戻って来たという状況です。それで、一番有効な手段として垂直避難、2階のあるお宅は2階へ上がってもらうように電話での問い合わせに対応した状況です。

問い:2階に上がるお部屋があるお宅はいいですが、平屋の方などはずいぶん怖かったでしょうね?

そうでしょうね。そういう事で助けの電話も頂いたんですけども救出にいけなかったのが事実ですね。

問い:そういった方たちは、どの様にしてしのがれたんでしょうか?

テーブルの上に乗られて腰まで浸かりながら水が引くのを待って頂いたような状況です。幸いにも人的な被害は無かったのですけども。

問い:対策本部の皆さんはどの様に対応なさっていたのでしょう?その時の様子を教えて頂けますか?

今回は水が一気に上がって来た、というところもありまして対応が取れなかったというところがあるのかな、と思っております。予想を越えて水位が上昇したものですから。一気に水が押し寄せてきたような状況でした。

問い:「イッキ」というのは時間にしてどのくらいの時間でしたか?

時間にして、住民の方から聞かさせていただくと30分ぐらいの間に水が上がって来たという事です。

問い:外城田川が氾濫して、役場の方が「危ない」と認識したタイミングというのはどれぐらいの時間のズレがあったのでしょうか?

その辺り、私は開票所に居たものですから分かりかねますが、住民の方の話を聞くとだいたい11時ぐらいに水があふれ出してきたという話なので、準備情報はそれで良かったと思います。もう少し早い方が良かったのかもしれませんが、実際には10時の段階で準備情報を出しています。10時12分ですか。避難勧告が11時25分ということで、溢れてから避難勧告を出しているものですから、結果論としては1時間ほど早くに出せれば、車の移動なども出来て良かったのかなと思います。

問い:玉城町内で一番被害が大きかったのは役場周辺の地域という事ですか?

そうですね。旧の城下町の辺りの家屋が一番多かったですね。

問い:この辺りは雨が降ると浸水の危険がある地域なのでしょうか?

過去の台風、伊勢湾台風の時にですね、何軒かは床上、床下があったようですが、この規模というのは初めての事になります。

問い:そうしましたら皆さんにも予想外のことだったのでしょうか?

そうですね。皆さん、まさかこちら側に水が来るとは認識されてなかったと思います。

問い:普段から外城田川っていうのは注意をされていた河川なのでしょうか?

そうですね。改修はさせて頂いていたんですけども、今回のように溢れるという事は無かった状況ですね。

問い:逆に玉城町内にある大きな川は大丈夫だったのでしょうか?

もう一つ、一級河川の宮川があるのですが、そちらの水位は以前から町でも監視させて頂いていて平成16年の時には玉城町で初めて避難勧告を出したんですけども、その時は10.16という事で過去の災害水位になってるんですけども、その時にもほとんど被害は無かったのですが。その後、平成23年にも出しました。これも宮川の関係です。今回初めて外城田川の関係で避難勧告を出した状況になっています。

問い:災害対策本部にいろいろな情報が入ってくると思いますが、その状況の把握ですとか、あるいは避難勧告の周知ですね、そのあたりはスムーズに進んだと思いますか?

今回の件に関しては、中小河川は急に水位が上昇する事もあって、この部分については対応が取れて無かったかなというところですね。
あと、担当者が電話対応等でアタフタした部分もあるのですが、県の防災情報システムへの入力ミスがあった事によって報道機関等に玉城町が出した避難準備情報や避難勧告の情報がテレビ等で流れなかった、という反省点があります。

問い:それは事前に準備はされていたけれども、という事でしょうか?

そですね。以前にも避難勧告、避難準備を出した事はあるのですが、その当時からシステム更新されて研修等は行っていたのですが、3班体制で防災体制を取っている中で各班に一人はシステム入力できるように配置していたんですけども、今回は電話対応などの影響でミスが出ました。今後においては、二名体制で入力できるようにして一名が入力して、もう一名が確認する二名体制を取っていかないといけないのかなというところですね。

問い:外城田川については避難勧告をだす水位ですね。例えばこれぐらいの水位で避難勧告を出そうというような事は決められていたのでしょうか?

外城田川については決めていませんでした。河川法に基づく河川、二級河川ですとかはその様な水位が定められるんですが、外城田川については準用河川ということでそれらの水位が定められてなかったという事です。今回の被害を受けてですね、既に設置してある所もあるのんですが、水位を見て頂ける水位標を設置して住民の方々自ら自主的に避難してもらえるようにして行かなければいけないと思います。また、この頃の時代ですからインターネットで水位を見て頂ける状況にまでして行きたいと思います。

問い:その水位に対する警告と言いますか、避難準備や勧告などの細かな設定もこれからになりますか?

そうですね。ただ、今回のをうけていろいろな所を視察させて頂いて思った事が、避難勧告など出してそれが空振りなっても良いんじゃないか?という。空振りになっても良いから事前に準備をして頂く事が大切かなと思います。

問い:今回の台風をうけてですね、中村さんご自身が防災に対する意識がどの様に変わりましたか?まずは、役所の一員としてどの様な変化がありましたか?

今回、未曾有の災害になったという事で職員一同と思いますが、しばらくの間、通常業務を停めた中でゴミの対応とか住民さんの対応とかさせていただいたところです。今回エリア的には小さいエリアだったのですが、今言われている東海・東南海地震が起こったら全域でこれが起こるんじゃないか?そうした時に何が出来るのか?という意味で役所で何が出来るのか?何も出来ないんじゃないか?という事で無力さを感じていますね。

問い:役場が出来る事の限界はどこにあると思いますか?

今回、紀宝町さんへ行っていろいろ勉強させて頂いたんですが「起こってしまった段階では何もできない」という事が一つ学んできたとこです。ですから、事前にひどくなる前にどこまで対応できるかが勝負だという事で紀宝町さんが言われていたので、確かにどこまで出来るかな?という部分ですね。
過去から、そう大きな災害が無かったものですから、玉城町は安全な町だと住民の方もそういう認識でいたのですが、今回の事をうけて改めて意識を変えていかないといけないと思っています。

タイトル 平成29年台風第21号体験談映像(玉城町 中村 元紀)
概要 降り続く雨で、宮川の水位等を警戒していた。しかし、平行して流れる外城田川が氾濫。監視はしていたものの、水位の上昇が早く、結果として氾濫してからの避難指示となってしまった。
タイトル2 ヘイセイ29ネンタイフウダイ21ゴウタイケンダンエイゾウ(タマキチョウ ナカムラ モトキ)
概要2 お名前:中村 元紀
ご住所:度会郡玉城町
発生時にいた場所:玉城町役場
当時の年齢:
公開レベル 公開
出典 みえ防災・減災センター
提供者 三重県・三重大学 みえ防災・減災センター
提供者公開フラグ 公開
原本の保管場所
コンテンツの取得日時 2018年 02月 26日
コンテンツの住所 三重県度会郡玉城町田丸
コンテンツの撮影場所 三重県度会郡玉城町田丸
タグID 避難指示,平成29年(2017年)台風第21号,度会郡 玉城町
コンテンツID 平成29年台風第21号体験談

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