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日ほど前から、水の管理のため、激しい雨と雷の中、わさび田へ詰めていた。朝に家に電話連絡をした後、周りの状況が一変した。森が動くような感じを受けた。川が土石流のようになり、その中を立ったままの木が流れていた。

8日頃から台風21号が秋雨前線を刺激したんでしょうね。それで雨がどんどん強くなってきて、その雨の降り方が違うんですよ。今、よく各地で起こっている線上降水帯というのかあの症状だと思うんです。当時は、そういう事を聞かなかったです。上流域の稜線で雷が光って直ぐに雷鳴がなって雨の勢いがもの凄くて視界が見えないんですよ。

問い:どのくらい先が見えないんですか?

もう10m先でも薄らいだ感じしか見えないんです。だから水のカーテンというか雨のカーテンですね。ワサビ田をつくたり養業を管理して来ましたから台風とか気象の変化は十分に覚悟して仕事をやって来ましたから、さほど怖いとか驚きはしませんでしたが、その時は異様な感じでしましたね。これは普通じゃないと思って、家内が出掛けるとの事だったので家に電話をして様子を確認しました。

問い:それは何日の何時ぐらいですか?

29日の朝8時ぐらいです。

問い:その時はすでにワサビ田にいらした?

28日から付きっきりでココ(ワサビ田)にいました。その時家内に裏山の水が濁ってきたら直ぐに脱出しろ言いました。それだけは守ってくれよ、と。ところが、電話が切れてしまったんですよ。これは、変だなと思ってはいたんですけども、その時に自宅の裏山が抜けたんだと思います。
こちらも変化が速いんですよ。水位がどんどん上がって来て下の方の山が崩壊して来て地滑りと言うのか山地災害ですね。山津波と言うのか木が揺すってるんですけど、木が生えたまま山が動いて来る、凄いなと。水位が上がっているので木が水の中に入ると暴れるんですよ。もうその時木がブルッと跳ねるんでもうその時はダメかなと思いました。でもなんとか逃げました。人間というのは本能的に逃げるんでしょうね、どうやって逃げたのか覚えは無いですけどね。

問い:西さんが逃げられた時はどちらにいたんですか?

下のアマゴの養殖をやっている養漁場にいました。

問い:水位はどのぐらい?

どんどん上がって来ますよ。見る見るうちに上がって来ますから。分刻みに上がって来ます。

問い:もうアッという間に何cmぐらいまで?

土石流ですから、土石木流といった方が良いかもしれませんが、水位が上がり、木が横たわりそして土が入り込んでさらに水位が上がる。高台に逃げるしかない、そういう時には。
それが繰り返すんですよ。雷が光り、雷鳴がとどろき、雨がどっと降ってくる。どれぐらい続いたかな?1時間か2時間ぐらいかな?
これは、大変だと思って家の方が心配になりました。家族がいるからね。それで、自分は覚悟を決めて出たんですよ。その時道を歩いてるんですが、歩けなくなってくるんですよ。水位が上がってくるんで。

問い:だいたい足からどれぐらい?

それはもう膝ぐらいかな。それでも歩いて行ったんですけども、その先に橋があるんですが、その橋が陥没してしまって通れなくて家に帰る事ができなかったんです。で、あきらめて帰ってこようと思ったのですが、道が無くなって帰ってこれないんですよ。

問い:道が無くなっているというのはどういう状態ですか?

土石流でえぐられて、道らしい道が無いんですよ。だからこの山の中を這いながらこちらの施設に帰って来ました。帰って来て回りを見渡しても向こうへ渡る橋も無いし。犬を括ってあったんですがいなくなりました。それほど大事になると分からなかったので、かわいそうな事をしました。あらゆることが一瞬にして起こってくるんでしょうね、これが気象災害なのか、と改めて感じました。今まで40年やってますが、これほどショッキングな事は無かったです。

問い:災害の時、何が一番大切か?教訓を得られましたか?

自分の身を守る事が一番大切なんでしょうね。自分が流されてしまったら終わりで、後世に伝える事も出来ませんから。自分の身を守る手段を冷静になって考えよ、という事ですね。なかなか冷静にはなれなせんので咄嗟の判断がいかに大事かという事で。周辺の様体が変化して来る前に行動を開始すべきですね。あまり様体を見ていたら帰れなくなるので。

問い:その台風21号台風の時このワサビ田はどんな状態になりましたか?

もう全然。全て流されました。この水系に5ヶ所ほどあったのですが、一瞬にして全て無くなりました。

問い:具体的にはどんな状態だったんですか?

もう何も無くて、河原になってしまいました。木が入った土石が埋め尽くしました。そういう状態で家にも帰れないの状態で2日間ほど寝て無かったので車屋で寝ていたら友達が来てくれたんですよ。友達から「家は流されてしまったけど、家族は無事だから」と聞いてホッとしました。

問い:家はどういう状態ですか?

もう上から抜けて、家がバラバラになっていた。その時に家内が家にいたんですよ、電話が切れた時に家の下の方が抜けていたんでしょうね。近所の人から「これは危ない」と声をかけられて脱出して一命を取りとめました。これ朝の10時ぐらいに発生して明るかったので良かったですよ。家内は車で逃げようにも塞がれてダメだったので走って逃げたようです。振り返ったら家が流される光景を見たらしいです。未だにあの光景を忘れられない、と言っています。
この大杉谷地区は結構変化があったけども犠牲者がいなかったので良かったんですけども、他の所では6名が亡くなって1名が行方不明になっていましたけどね。大杉地区は災害が多かったし、近隣の付き合いが多かったのでのがれる事が出来たという感じがしました。やっぱり普段からお互いで命を守り合うという精神は大事だと思います。

タイトル 平成16年台風第21号豪雨体験談映像(大台町 西 要司)
概要 2日ほど前から、水の管理のため、激しい雨と雷の中、わさび田へ詰めていた。朝に家に電話連絡をした後、周りの状況が一変した。森が動くような感じを受けた。川が土石流のようになり、その中を立ったままの木が流れていた。
タイトル2 ヘイセイ16ネンタイフウダイ21ゴウタイケンダンエイゾウ(オオダイチョウ ニシ ヨウジ)
概要2 お名前:西 要司
ご住所:多気郡大台町桧原
発生時にいた場所:わさび田
当時の年齢:
公開レベル 公開
出典 みえ防災・減災センター
提供者 三重県・三重大学 みえ防災・減災センター
提供者公開フラグ 公開
原本の保管場所
コンテンツの取得日時 2017年 10月 05日
コンテンツの住所 三重県多気郡大台町桧原
コンテンツの撮影場所 三重県多気郡大台町桧原
タグID わさび田,平成16年(2004) 台風第21号・土砂災害,多気郡 大台町
コンテンツID 平成16年台風第21号豪雨体験談

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