2・3日前から雨が降り続いており、災害当日の昼には、役場の方から避難準備が出されていた。そして、夕飯をとっていたところ、少し下流の方から、地球が割れるような音がした。家族が川を確認しにいくと、目の前の川がプールのようになって、水位が上がってきた。

問い:平成23年の台風、これは何月何日に強い雨が降ってどんな被害が出たんでしょうか?

これは平成23年の9月4日だったと思います。2,3日前から9月4日の昼の12時頃まで本当に強い雨が降りました。役場の有線で「避難して下さい」と流れていました。12時を過ぎたら役場の方からも「帰って下さい」と流れたと思うんです。それで昼からずっと曇っていて5時半頃の夕飯時にこの下でものすごい音、地球が割れて行くぐらいの不気味な音がしました。

問い:どんな音ですか?

表現し難いですが、地の底から吠えて来るような「ドーン」という音と響きで、下の方の方は地震だと思ったらしい。その時、土石流が2本ある橋台を押し流して橋が落ちて土石流と共に仮ダムになったんですね。その時の風圧と水をはね上げた勢いでこちら側の家が一軒つぶれました。

問い:その音が聞こえて「これはタダごとじゃない」と?

それで子供が見に行って「これは逃げないといけない」と言う事で20分ほど奥へ逃げたんです。

問い:「おく」というのはどちらですか?

岩井集会所です。逃げるのに20分かかったんですが、何も持ち出せなかったんです。ウサギを飼っていたのでウサギだけ持ち出した感じです。携帯も持てなかったんです。それで家に車が3台あったんですが、それぞれ別で私が最後に逃げたんです。下の県道向けて水が上がって来て、県道まで20分で上がって来た。

問い:川底からの高さでいうとどれぐらいになりますか?

だいたい。。。既に大水が来ていたので。。どう説明すればいいかな?木の根っこまで水は来ていたんですね。

問い:水がせき止められているような状態ですか?

そうですね。もうプールみたいになっていて流れが無いわけです。この家は狂いも無く、ただ浸かっただけで。県も調べに来たんですが、左右にも動いてないし前後にも動いてないと言う事です。

問い:家はどれぐらい浸かられたんですか?

それが、避難していたので分からないんです。夜泊まって朝6時頃ここへ来たら滅茶苦茶になっていた。このブロック塀も倒れていたんです。

問い:その時のお家の中の状態はどうでしたか?

よくテレビであるじゃないですか。テレビや箪笥もひっくり返ってワチャワチャになっている。土壁は水に浸かってガサッと落ちていた。

問い:6時頃帰られた時には水はどうでしたか?

もう、何もなしです。

問い:水が入った痕というか、どの辺りまで浸かったか分かりますか?

ふすまの高さの3分の2までです。

問い:全体的にそこまで浸かっていたんですか?

そうです。ずーっと一面。

問い:他の家の方々もそうですか?

いや、下流の方の家は一軒が橋が崩れた風圧と巻き上げた水で潰れて、他の二軒は水だけが行って、電気屋さんは新品のテレビとかが浸かって大分損害が出たようです。

問い:16年の台風に比べて23年の台風の雨の降り方はどうでしたか?

雨の降り方は16年の方が多かったと思います。ただ、あそが崩壊しなかったらちょっと多い雨だったなという話しだったんですけどね。この時の23年で被害が出たのはこの辺りだけですからね。ちょうどこの時、紀州の方、熊野市とか紀和町とか勝浦とか、あれと同じツレだったんですわ。

問い:紀伊半島大水害?

そうです。橋台があってそれが崩れて橋を崩して被害が出たので、新しい橋は橋台なしの吊り橋型になっています。あれからどこが安全というのが無いように思うようになりました。あんなところが抜けたのか?と思います。その抜けたところは染みの良い一等地だったんですわ。谷を流れている水もきれいだし、ここら辺の部落ではAクラスの植林地だったんですけどね。その裏側も大崩壊があったんです、だから同じような土質だったのかなと話しています。

問い:大きな台風を2回経験されて、どうですか?

台風は防ぎようがないので、もう逃げるしかない。水が入って来ないようにするわけにもいかないですからね。まあダムが崩壊してバッと水が流れたらと思うと早く高い所へ逃げれる道を考えておかないといけないと。どこへ逃げる化を家族で相談しておいた方が良いなと思います。

タイトル 平成23年紀伊半島大水害体験談映像(大台町 細渕 淳輔)
概要 2・3日前から雨が降り続いており、災害当日の昼には、役場の方から避難準備が出されていた。そして、夕飯をとっていたところ、少し下流の方から、地球が割れるような音がした。家族が川を確認しにいくと、目の前の川がプールのようになって、水位が上がってきた。
タイトル2 ヘイセイ23ネンキイハントウダイスイガイタイケンダンエイゾウ(オオダイチョウ ホソブチ アキスケ)
概要2 お名前:細渕 淳輔
ご住所:多気郡大台町岩井
発生時にいた場所:自宅
当時の年齢:
公開レベル 公開
出典 みえ防災・減災センター
提供者 三重県・三重大学 みえ防災・減災センター
提供者公開フラグ 公開
原本の保管場所
コンテンツの取得日時 2018年 02月 03日
コンテンツの住所 三重県多気郡大台町岩井
コンテンツの撮影場所 三重県多気郡大台町岩井
タグID 平成23年(2011)紀伊半島大水害,多気郡 大台町
コンテンツID 紀伊半島大水害体験談・証言(映像)

動画に関する詳細情報