災害当日の朝は通常どおり出勤したが、今までにないほどの雨で危機感を覚え、休暇の連絡をして自宅に戻った。さらに降り続く雨で土砂災害と河川の氾濫により、川向かいの実家が土砂に飲まれた。

問い:まず雨の状況から教えてもらいたいと思います。降り始めは何時で最初はどんな雨だったんでしょうか?

一週間ぐらい前からずっと雨が降ってて、いつもよりひどいかな?よく降るな、という感じでした。とりあえず、子供を学校まで送って行ってそれからココ(宮川上流漁業協同組合)に出勤してきたので8時半までに着いていたと思います。

問い:こちらに着かれてから雨はどの様に変化していきましたか?

もう一人の方と二人でいたんですけど、そこの谷から出てくる水が異常に多いのと石とか切株とかが落ちて来るんですけど、その音が凄い。あまりにも雨も凄いし、もう一人の人と組合長に「ココにいられないので」と連絡して家へ帰りました。

問い:こちらの建物の前には小さな川、後ろには大きな川がありますけど、この川は川底が見えまる水位なんですけども、当時はどんな水位でしたか?

ダムが放流したので全然見えなかったと思います。凄い濁流で下に清流茶屋があるんですけどその下まで水が来ていたと思います。

問い:仕事場から一旦ご自宅に帰られた言う事ですが、その後この辺りはどの様な状況でしたか?

後で聞いたんですが、この新しいトンネルは無くて旧の古いトンネルがあるんだけど、ダムの水が一気に出たらしくて崖にぶちあたって道が無くなってたので、ちょっとの時間で家にも帰れなかったかもしれないし、巻き込まれてたかも知れないな、という話になったんだけど正確に何時に崩れたかは分からないんです。

問い:ご自宅の方はいかがでしたか?

今は作ってないんですが、その頃はお米を作っていてお米を収穫した後でお米を高い所へ上げるのが大変でした。特に大きな被害は受けてないけど床下は水が通ったんじゃないかな?

問い:水は何センチぐらいですか?

10センチ、15センチぐらいよ。でもちゃんと歩けなかったぐらい。

問い:流れは速かった?

速かったよ。言ってる間に電話も電気も全てダメになって、その頃携帯電話の電波状況も凄く悪くって、川を挟んで父がいる実家があるんですけど土砂で埋まってしまったという連絡も全然なく知らなくて。

問い:実家の状況というのは?

見えなくて全然知らなかった。それで、トンネルが止められているので、向こう側の橋を渡って行こうとしたんですが車が通れなくて一旦家に帰って長靴に履き替えて歩いて行ったんですが。実家の母は家の前に出ていて助かって隣の家に避難してたんだけど、父は実家の裏に日頃から水が出ていたのを気にしていてそれを見に行った時にちょうど崩れてきたらしいです。家の軒下2メートルぐらいまで土砂で埋まってしまってどこにいるかも全く分からなくなってしまって、どうやっても無理だろうと。救助隊が来たのは次の日だし。

問い:お父さんは次の日に救助されて?

救助してもらったと言うか、見つけてもらった。壁に手を着いて立ったまま土砂に埋まっていた。その時、消防と愛知県警、三重県警、自衛隊が交代でちょっとづつ機械を使わずに掘り出してくれました。

問い:お父様は土砂崩れに撒き込まれた事でお亡くなりになられた?

そうです。どこにいるか分からないので大変でしたよ、母が。

問い:土砂災害が起きた際になかなか救助も出来ない状況のようですが、行政ですとか救助の仕組み等についてどの様に感じられましたか?

家より下でもっと凄い災害が起きていたのでまったく車も上がって来れなかったし、救助も直ぐには来れない状況でした。

問い:要請などはされたんですか?

実家の近所も家屋の被害は出てたので役場の方に被害の連絡は入っていたみたい。私達はあまり知らなかったけど。時間が経ってからやな。

問い:今回、お父さんを亡くされたと言う大きな災害だった分けですが、大原さんの中で災害に対する心構えなどは変わりましたか?

ここの災害が起きてから全国各地で災害が起きているのを見るんだけど、その頃はこの辺の人皆がこんなになると思ってなかったんで。。。今は怖いよね。

問い:今回平成16年の台風で一番困った事は何ですか?

電気ですかね。冷蔵庫の中身とか全部ダメになるし。お風呂も大変でした。フォレストピアが無料開放してくれたり親戚の家で入れてもらったり。親戚の方から水やカセットコンロなどを持って来てもらいましたが、食べ物を冷蔵庫に入れられないので腐ってしまうので、やはり電気かな?

問い:改めてそういう時に何が一番重要だと思われますか?

あの頃は避難勧告とか避難命令も全然なかったし、そういう連絡ですか。状況が把握できない、当時も携帯電話は使っていたけど停電で充電できなくて連絡をもらっても「電池が切れるで、大丈夫だから」と直ぐに切っていました。やっぱり状況が分からないと一番困るかな?

タイトル 平成16年台風第21号豪雨体験談映像(大台町 大原 勝子)
概要 災害当日の朝は通常どおり出勤したが、今までにないほどの雨で危機感を覚え、休暇の連絡をして自宅に戻った。さらに降り続く雨で土砂災害と河川の氾濫により、川向かいの実家が土砂に飲まれた。
タイトル2 ヘイセイ16ネンタイフウダイ21ゴウタイケンダンエイゾウ(オオダイチョウ オオハラ マサコ)
概要2 お名前:大原 勝子
ご住所:多気郡大台町大井
発生時にいた場所:自宅
当時の年齢:
公開レベル 公開
出典 みえ防災・減災センター
提供者 三重県・三重大学 みえ防災・減災センター
提供者公開フラグ 公開
原本の保管場所
コンテンツの取得日時 2017年 12月 06日
コンテンツの住所 三重県多気郡大台町大井
コンテンツの撮影場所 三重県多気郡大台町大井
タグID 実家,平成16年(2004) 台風第21号・土砂災害,多気郡 大台町
コンテンツID 平成16年台風第21号豪雨体験談

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